kunirov’s diary

書きたいこと書いてます

雨降りの喫茶店

梅雨の季節は問答無用にメンドクサイという思いを抱いてしまう。

 

仕事が休みの日など「あぁ~また雨か・・・」と、前日の天気予報で分かっていながら改めてその失望感を口に出して、晴れていればできたであろう色々なアクティビティをふいにした可哀そうな自分の境遇を味わったりする。

 

しかしその失望感と同時に「万が一、雨が降らなかったら・・・」という状況に思いを巡らせてしまう。

もし梅雨の時期に雨が十分降らなかったら、盛夏に渇水という最悪の状況を迎えることになりかねない。しかも近年の熱夏を考えたら、その昔、社会科の教科書で見た、給水車による水の配給の様子を思い出してちょっと恐ろしくなる。

 

だから梅雨の雨を厄介者として一蹴するのも気が引けてしまうのだ。そして結局のところ、口に出した失望感に続いて「ダムのあるところで十分に降ればいいだけなのに・・・(大雨過ぎてダム決壊は困る!)」と雨が降ること自体を否定しない身勝手なフォローを忘れない自分がいる。

 

そんな感じだからいつも梅雨の季節は自分自身がメンドクサイ奴だなと思ってメンドクサイ。

 

かといって梅雨が嫌いなわけじゃない。なんだかんだいって、紫陽花を見るのは雨の日か雨降りのあとの濡れた感じが良いし、ベッドに横になって静かに降る雨の音を聴くのも嫌いじゃない。

 

それに雨の日は最高の喫茶店日和だと思っている。

 

こんな日に行きたいのは、人通りの多くない路地に面した窓の外の常緑の低木越しに雨降りの様子がちらっと見える席がある、使い込まれた銅の槌目のあるマグカップでアイスコーヒーを出す店だ。もちろんマグは高い湿度のせいで水滴が滴るくらいがいい。

 

そう思って雨の日はわざわざ喫茶店に入ることが あるのだけれど、なかなかその条件を満たす店に巡り合わない。

 

本当はもっと条件がある。

暖色系の間接照明を使い、サイフォンがあり、床は焦げ茶の古木フローリング、うまいエクレアがある、ミルクはきちんとクリーム。アイスコーヒーでは使わないけど、シュガーポットには琥珀色の結晶のコーヒーシュガー。そしておしぼりはいつも熱くて、BGMはレコード盤から流れる洋楽ポップス。

 

60~70年代っぽいイメージだと思う。・・・やはりこれは過去のイメージなんだろうか。夢の中の店なんだろうか。判然としないが、僕はいつもこの雨降りの喫茶店を探し続けている。

 

 

それにしても僕が休みの日の雨率、高すぎじゃないかとは思う。