kunirov’s diary

書きたいこと書いてます

夢の中の店

寝ると大抵、夢を見る。


内容を覚えていない、恐らくは刹那的なものが殆どだが、不思議と何度も登場した『店』があった。


住宅街の路地にある三叉路の角地にある中華料理屋のような駄菓子屋のような店だ。


この店の夢を見るときは、実際の季節に関わらず、真夏の正午、さんさんと降り注ぐ日差しに照り返されるアスファルトの路地、その店の裏手にあるエアコンの室外機が小さくぶーーんと唸る音が聞こえる。


一戸建ての一階部分を店舗にしていて、両開きのサッシ戸を開けて入ると手前にカウンターを兼ねたガラスのショウケース(中にはビスケットの箱のようなお菓子がまばらに並んでいる)があって、その奥にパイプ製の脚のイスとテーブルがいくつかある。


いつも店の人が不在なのに、一度だけ冷やし中華だったかチャーハンだったかを頼んだことがあった。


頼んだというよりも、料理が出てくるのを待っていた。


程なくして料理が配膳口から出されたのを自分で取りに行ったと思う。


味とか見た目は覚えてない。出された料理を頂いて、そそくさと入り口のガラス台で会計を済ませた。


この時カウンター越しに、小柄なおばぁちゃんが椅子に腰掛けていて、レジ番をしているようだった。


顔は見えなかった。


そういえば配膳口の向こうは厨房のはずだが、調理している誰かの気配は感じても姿は見えなかった。


見ようとしなかった、という方がしっくりくる。なぜなら、その光景はその時の僕にとっては当然の、日常の光景だったからだ。


そして僕自身は、そんな真夏だっていうのにビジネススーツ姿だ。



そんな真夏日に住宅街をスーツ姿で徘徊していたら、たぶんこう叫びたくなるだろう。




夏休みをくれぇ!!




そういうココロの叫びだったのかなと、この夢を見なくなって久しい今となってはそう思う。