kunirov’s diary

書きたいこと書いてます

思い込みは怖い!

今週のお題「人生最大の危機」

 

それはとある北関東のキャンプ場へ行った時のこと。

 

トヨタランクルで若かりし僕ら男女5人わいわいのキャンプ旅行だった。僕はたいてい助手席でナビ役することが多かったんだけども、この時もそうだった。

 

訪れた危機は最終目的地のキャンプ場ではなく、その手前で休憩かねての温泉~ということでたちよった日帰り温泉施設でのこと。その施設は山中にある施設なんだけど、谷側の立地だったので駐車場からもかなり見晴らしがよい場所だった。

駐車場に車を停めるのに、バックしすぎるといけないので先に降りた自分が誘導した。

 

手招きでオーライ合図し、車の位置を確認、ちょうどの位置でストップ合図を出す。そのとき警備員の怒号が響いた。たぶん、危ない!っていうことだったと思う。

僕はストップの合図を出しながら、その声にハッとした。無意識に体が横に動いた。

 

ほんとに何かから覚めた感じがしたのだけど、後ろを振り返ると、あと一歩、いや半歩でも下がっていたら…数十メートルはあろうかという切り立った断崖に吸い込まれるように転落しただろう。

最終的に車が停止した時、バックドアのスペアタイヤがある位置はもちろん車止めを越えて後ろに突き出るのだけど、そこから先は断崖絶壁の谷底だった。自分で下がらなかったとしても、車が止まった時、僕は谷底に姿を消したことは想像に難くなかった。

 

そんな危険な場所とは思っていなかった。というか、僕自身の認識はそこに「ガードがあったはずなのに、なんで消えた?」だった。車を降りて誘導している間、僕はそこに転落防止のためのガードレールがあるものだと思い込んでいたのだ!実際には存在しなかったガードレールを、勝手に頭の中で補完し、安全だと思いこんでいた。

 

警備員の怒声がなければ、自分で落ちたか、車にどつかれて落ちたか、いずれにしても

そのまま谷底に落ちていたのを思うと、かなり冷や汗が出た。警備員には感謝しかなかった。ほかの連れは何事かわかってはいなかったようだ。なんでだろうか、人生が分岐した気がしていた。

 

ピンチを脱して生き続ける世界と僕がここで人生退場する世界。

車から降りてきた友達の姿を見ながら、もうひとつ、僕が谷底に落ちた瞬間に気づかずに、姿を消した僕を探している友達の姿がダブって見えた。

 

道中の楽しさに、ついつい油断していたのだろう。キャンプ旅行自体は楽しく過ごしたが、ふとその場面が頭をよぎり、何度も何度も冷や汗リフレインを繰り返した。

 

あとから思ったのだけど、僕が誘導していた位置が警備員の位置から見えるはずがなかった。

駐車位置に右からバック進入してハンドルを切っていたが、警備員がいたのは、僕がいた場所からちょうど車を挟んで対角線上。しかも車は大型のランクルで斜角の位置だから死角も増えていた状態だ。

さらにこの時、駐車場に入ってくる車はほかにもいた。すでに入場をしている僕らだけを注視している暇はなさそうだった。

もし僕の姿が見えたのだとしたら、それはもう一瞬だけのことだっただろう。いってみれば奇跡的に危険を察知した、ということになるのかな。

 

ほんとに今でもあの瞬間、気づいてくれた警備員には感謝しかない。

 

しかしまぁ、たかだか15センチも無いような高さのコンクリ車止めだけで、その後ろが断崖絶壁の駐車場って、よく事故が起きないものだ。

逆に、よく事故が起きるからこそ警備員も気にしてた、と思うと、ちょっと背筋が凍る。

 

そう、僕はあの時、見えない誰かに呼ばれていたのかも…と。それも二段構えという確実な方法を用意して…